実は時間をかけてやった方が良いもの

近頃は「効率良く」なんでもかんでもやろうとするふうに言われていますが、そのせいで人間がバカになってしまっているような、そんな気もしているのです。「効率良く」仕事を終わらせたい、「効率良く」ごはんを作りたい、「効率良く」休みたい、「効率良く」稼ぎたい、「効率良く」はなしを進めたい。そのほかにもまだまだ、「効率良く」が使われていることはたくさんあります。昔は今みたいになんでも時間をかけてやるしかなかっらから、できるだけ早く仕上げようにも限界があったと思うんです。それでも人のやれる範囲で、同じ過ちを繰り返さないように、だったり、できるだけ間違えないように、というような感じで、できるだけ「効率良く」について考えていたのでしょうけど、それがどんどん人のからだを使わなくなりはじめてからは、人のやる意味がなくなってきてしまっている。それって、たしかにいつの時代も、人類と進化の過程のように言われていますし、その進化の過程をたどってきたから、こうして今も人類というものは生き残っているのだとは思います。ただ、その過程の中にも、実は時間をかけてやった方が良いものというのはあるんじゃないのかなぁという気は、最近よくするのです。

考えながらはなすふうに見せる場合と、本当に考えを出すのが早いことってあると思います。どれだけ話さなくてはいけないことがわかっていても、その時の聞き手との「間」というものはあるものだし、その「間」を無視しては、せっかくのおはなしの時間は台無しになってしまいます。ドキドキしたり、ワクワクしたり、悲しんだり、おもしろがったり。そういう感情を揺さぶるようなはなしが、落語の場では繰り広げられていて、この先、そういう時間さえも「効率良く」が取り入れられてもいくのかなぁと思うと、なんだか少しさみしい気もするのです。落語を取り入れるなんていうのは、「間」を殺してしまうものでもあると思うのです。その「間」という時間が、人と人のあいだに作られていくことで、感情が揺さぶられることを体感することができるんだと思います。そういう人と人のあいだに作られている「間」と同じように、本当はもっと気にかけておいた方がいいものってあるように思うのです。

聞くことはなによりも相手を受け入れる、ということであり、そこにいて良いんだよ、と伝えることにもなるでしょう。聞くことができないと、相手のことを受け入れていないよ、と示すことにもなるので、聞くことができない人の周りには、安心していられる時間はそう長くはないと思う。できればみんな、自分のはなしをしたいだろうし、それには絶対に聞くことができる人の存在が必要なんだよね。こども達と過ごしていると、聞くことが大事になる場面がたくさんある。そんな場面を僕はつい、自分のことを優先にしてしまって台無しにしてしまうことがよくある。仕事だからとか、今は忙しいなんていいわけを言っては言い逃れをして、聞くことがおろそかになってしまう。そんなことはこどもの頃からしょっちゅう起きていた。とにかく自分の時間がほしい。縛られたくはない。自由がいい。そんなことを考えていたこどもだったから。それが少しくらい叶うようになったら、もう少し聞くことができる大人にならなくちゃいけないよなぁと思っている。あの頃の自分に言えるのは、「今は聞くことができなくてもいいから、思いっきり好きなこととかやりたいことをやってしまえばいい。でも、そのあとは聞くことも上手になっていかなきゃいけないと。」ということ。

聞くことをしようと思えば、自分のはなしを止めなきゃいけない。やっていることも止めなきゃいけない。それは受け身の姿勢とも言えるだろう。少し前までは周りの嫌な影響を受けることが本当に嫌だったし、周りが現実を受け入れずに、誰かの悪口を言っていたり、自分のできない理由をぐちぐちと並べたり、言い訳なんてしようものなら、そんな人のそばにはいたくないとも思っていた。けど、今は、その人たちのはなしを聞けるようにならなくちゃいけない時期に来ている気もする。なんて自分が今この立ち位置にいれるのかというのも、そういう自分が避けてきた人たちのおかげでもあって、その人たちがいるおかげで、自分は好きなことをやれていて、自由に仕事をしたり、休んだり、勉強したり、遊んだりできているのだ、ということも、もっとちゃんと受け入れなくてはいけないのかもしれない。あまりにもこれまでの時間、長いこと好き勝手やってきたし、それはこれからも止められないかもしれない。だけど、もう少しくらいは、足と手を止めて、聞くことができるようにならないといけないよなぁということを考えるようになってきている。仕事の中でも、そんなふうに聞くことができた方が、自分が考えていないようなことを知ることにもなるのだし、知っていることも知らないことも含めて、相手を受け入れていることを伝えるような時間を増やしていけば、結局それが、自分勝手にやれるための大事な時間にもつながったりもするんだろうね。


今日も「ここ。」に来てくれてありがとうございます。

人間関係についての本を書いてはみたのだけれど、聞くことについても、もっといっぱい考えなくちゃいけないことはありそうだ。


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